グラコは、今年9月にも放電、絶縁、充填をすべて自動化した直接帯電式水性静電塗装専用パッケージ「Hydro Shield(ハイドロシールド)」を発売する。「世界基準の安全対策を施した上で、静電塗装のポテンシャルを最大限に生かすことができる」とし、需要拡大が予想される水性化を追い風に一般産業用塗装分野を軸に提案を進める。

水性塗料を直接帯電方式で静電塗装する際、感電事故を防ぐため、塗料タンク-供給ポンプからスプレーガンまでの経路において放電、絶縁対策を施す必要がある。現状は樹脂製ボックスで塗料タンク-供給ポンプを囲う方法や作業者が安全靴を履いた上で、絶縁架台の上にタンク-供給ポンプを置き、絶縁ホースをスプレーガンにつなぎ作業するのが一般的。ユーザーには対策の徹底とそのリスクから水性静電の採用を阻む遠因にもなっているという。

そうした事故リスクを払拭するため、絶縁ボックスにタンクとシリンジを一体化させた装置を組み込み、放電、絶縁、塗料充填の自動制御を実現したのが「Hydro Shield」だ。

メカニズムとしては、タンクからスプレーガンに塗料が送られる際は、塗料供給ポンプとのバルブが自動で分離し絶縁する。スプレー作業が終わると自動放電し、充填のためタンクと塗料供給ポンプが接続する。ボックス型になっているため、誤って第三者がタンクを触る危険性も避けることができるという。

内部タンクの容量は最大1,150㏄で任意でタンク容量の設定が可能。またタンクに塗料を補給するタイミングもタンクの残量から設定することができる。色替えバルブは15個を装着する。

塗着効率が高く、作業時間の短い直接帯電方式の普及に寄与するとの期待がある。「安全性を確保した上で、静電効果をフルに発揮させることが生産性向上に寄与し、費用対効果に貢献すると考えている」と話す。

ラインアップは、エアスプレータイプとエアーアシストタイプを揃える他、オプション品としてスプレーガンから手を放して洗浄作業ができる「ガン洗浄ボックス」を上市。ガンのトリガーを機械が引き、人的作業を不要にした。「ガン洗浄ボックス」においては既に自動車メーカーも導入しているという。