"手で塗る塗料"というコンセプトが当たり、DIY市場でヒットしているニッペホームプロダクツの「モルモル」。"気軽で手軽で簡単!"と自宅の部屋の壁塗りにチャレンジする人を増やし、ユーザーが投稿した動画の視聴回数は100万回を突破、インテリアのDIYシーンに新たな風を起こしている。

そんな「モルモル」。実はDIYだけでなく、工務店など家づくりのプロの世界でも使われ始めている。「お客様参加型の家づくりにおいて、こんなにマッチした商材はない」(工務店経営者)と歓迎、"手で塗る塗料"がプロの世界にも進出しようとしている。

大阪府岸和田市の中原工務店(中原啓尊代表)は昨年、住宅のリフォーム工事で初めて「モルモル」を使用した。古民家を全面改修する案件において、「施主さんから『リビングのメインの壁は、塗り壁風にしたい』とリクエストがあり、いつも使っている塗り壁材をスペックする予定でした。ところがその商品が既に廃番になっており、急遽ネットで代替品を探す中で見つけたのが『モルモル』です」(中原代表)と経緯を説明。

中原さんの目に留まったのは、やはり"手で塗る塗料"というフレーズ。「『この材料なら簡単そうだし、施主さんにも施工に参加してもらえるな』とピンときました。自分たちが家づくりに参加できることで、楽しさや満足感がもっと膨らむのではないかと考えたんです。そのことを伝えると施主さんもノリノリで、家族で塗ることが即決しました」と、モルモルでの壁塗りが決まった。

施主家族がDIYで塗るのは、リビングの壁の1面約8㎡。壁掛けテレビを設置するメインの壁に塗り壁風のテクスチャーをあしらい、部屋をオシャレに演出するイメージだ。

施工当日は、あらかじめ工務店側で石膏ボードの下地処理も済ませ、必要分の「モルモル」も用意してスタンバイ。施主夫婦と小学生以下の3人の子供を合わせた家族5人も現場にやって来た。そして中原さんが一言、「さあ、塗ってください!」。

「皆さん、初めてのことなので当然最初は戸惑っていましたが、『この壁に好きなように塗ってください』と、あえて指導めいたものはしませんでした。この材料に塗り方の正解・不正解はなく、塗りあがった表情がその家族にとっての正解だと思っていましたので、『ここは勢いで!』と後押ししました」と中原さん。

「最初はおずおずといった感じでしたが、すぐに感覚をつかめたようです。道具をつかわず自分の手で塗りつけるだけなので、直感的に感覚がつかめるんでしょう。柄がどうのこうのというより、家族の手のひらで醸し出した表情すべてが思い出です。最後はみなさんの手形を壁にレリーフして完成、時間にして約2時間のイベントでした」と当日の様子をレポート。

中原さんは今回のモルモルの利用に関して、「シンプルかつ簡単な材料なので施主参加型の家づくりには最適な商品だと思います。壁塗りという工程はそれなりにやり応えがありますし。家への愛着が高まり、家を大切にする施主参加型の家づくりは、お客様にも喜んでもらえて、私たち工務店側にとってもやりがいのあるサービス。その有効なメニューとして『モルモル』を今後も使っていきたい」と、中原さんにとっても新たな発見になったようだ。