第58回JAPAN DIY HOME CENTER SHOW2022が8月25日から3日間、幕張メッセで開催された。国内外から319社が出展し、860小間を展開。3日間で2万447名が訪れた。コロナ下で発生した巣ごもり消費が一巡し、出展した各社は新製品や新たな提案で巻き返しを図りたい考え。昨年に続き、ライトユーザーに間口を広げるために、「手軽さ」や「簡単」といった製品コンセプトが目立った。DIYの新規ユーザーを引き込むことで、市場活性化を図りたい考えだ。
■ニッペホームプロダクツ
ニッペホームプロダクツは新製品の「ZAKUZAKU」を披露。同品は厚膜でざらざらとした砂状の塗膜が得られ、武骨な質感でDIYユーザーを刺激する。色相は大人の高級感を演出できる「隠れ家ブラック」やカリフォルニアの海岸をイメージした「ホワイトビーチ」などユーザーが利用シーンをイメージしやすいように工夫した。「厚膜のしっかりとした塗膜でボロボロになったウッドデッキなどもきれいに復活させることができる」と製品メリットを訴求した。また、DuluxGroupのシリコーンシーリング材「STORM」も紹介。揮発成分が少なくやせないシーリング材としてアピールした。「海外のグループ会社の製品を日本で展開できるメリットは大きい」と同社グループならでは強みを訴求。
■カンペハピオ
カンペハピオはSDGsの取り組みの観点から、塗料缶ではなく紙パックを活用した新しい容器を出展した。同社では環境負荷低減の取り組みとして進めていく考え。「今年の冬から一部製品に採用していく」と今後の予定についても言及した。
新製品では「ペーパーステイン (Paper Stain) おしぼり塗料」を紹介。塗料を含ませたおしぼりで塗装することができ、刷毛やローラーは必要ない。「手軽に使っていただけるような製品でより多くの人がDIYに取り組むきっかけを作りたい」考え。
一方で鉄部用の「サビの上から塗れる油性鉄部」や「サビに強い水性鉄部」、木部用の「キシラデコールシリーズ」など修繕用途での商品群を並べた。
■アサヒペン
家庭用塗料をメインとするアサヒペンは手で塗れる塗り壁材「Nuri-Deco-Wall(ヌリ・デコ・ウォール)」を紹介した。同品は手で簡単に塗ることができる塗料で、さまざまな模様を生み出すことが可能。屋内だけでなく屋外でも使える。また、今回着色用に「水性多用途ペイントマットカラー」の55㎖パックも上市。Nuri-Deco-Wallに混ぜるだけで色を付けることができる。「簡単に塗れる、着色できるといった特長でハードルを下げ、より多くの人がDIYを行うきっかけになれば」と狙いを語った。
■ターナー色彩
DIYショーの常連となったターナー色彩は、今秋発売予定の2つの新製品をメインに据えた。
「IRON PAINT 黒皮鉄」は、インダストリアルデザインの家具や建具などで人気の「黒皮鉄」の風合いを手軽に再現できるDIYペイント。塗料の乾燥後に布などで軽くこすると金属の鈍い光沢が出てきて黒皮鉄風のワイルドな質感が醸し出される。グラファイト(黒鉛)を配合した独自の表現技術で製品化した。「(DIYショーの)初日からホームセンターのバイヤーさんと順調に商談がまとまり、動き出しが早そう」と期待を高める。
また、もう1つの新製品は「MILK PAINT for GARDEN LATTICE」。ガーデニング用品のラティスの塗装に特化した色合いと機能を充足し、「あえてラティスに絞り込むことでガーデニングユーザーに響かせたい」狙いだ。
■和信ペイント
和信ペイントは「人工木デッキコート ハードプロテクト」「フローリングコート」を出展した。「人工木デッキコート ハードプロテクト」はウッドデッキやジョイントデッキの材料として近年使用が増えている人工木に着目した製品。人工木は紫外線などで色あせや白ボケなどが起こるが、同品は紫外線を95%カットし、色あせや白ボケを防止できる他、防カビ効果も付与した。
「フローリングコート」はシートフローリングや木質系フローリングに対して優れた密着性を発揮する。耐久性を向上させる他、抗菌剤も配合した。「ゼロベースで原料や配合を検討し、今までにない密着性を持った製品」と特長をアピール。ブースでは2製品の施工を実演した。
■三井化学産資
昨年に続き2度目の出展となった三井化学産資はノンロットブルーノを注力製品に据える。同品は超耐候性を持つ他、鮮やかな仕上がりが特長。また、刷毛がなめらかに滑り、効率よく作業ができる。同社ではこれまでの業務用の展開から一般ユーザーにも裾野を広げたい考え。「一般ユーザーが施主になる可能性もあり、多くの人に訴求していきたい」と話す。ブースでは、塗料屋サンライズのアイドルがPRをサポート。「他のブースとは違う一風変わったキャッチーな存在がいることで、来場者が話を聞くきっかけになる」と狙いを説明。多くの来場者が足を止めていた。
■アトムサポート
アトムサポートは昨年に続き水性タイプの自然塗料をジェル状にした「水性自然カラージェル」を紹介。たれにくく、布で手軽に塗れるのが特長。1回塗りでしっかりと色がつく。ローラーなどを使わなくても簡単に塗装ができることからライトユーザーに向けて訴求した。また、ブースではウッドテーブルとイスを設置するとともに、同社の「ウッドエバープロテクト」「水性アトム自然カラー」を一緒に展示。出来上がりやつくったものを取り入れた生活をイメージしやすくした。
■コスモコーティング
皮革コーティング剤「革王」などを中心にホームセンター向けに展開しているコスモコーティングは木材用の2製品を紹介。その1つの木部保護コーティング剤「木王」は無垢材を手軽に保護したいという声に応えた製品。木材の自然な呼吸を妨げず、木目を生かした自然の風合いを残しながら防汚性、撥水性、防カビなどの機能を付与できる。
一方、「すべらん」は表面に特殊なガラスコーティングを施すことで、フローリングに防滑機能を付与できるコーティング剤。無溶剤使用に加え、抗菌機能も持っている。「木へのコーティングは根強い需要があり、そこに応える製品」として積極展開していく。
■谷口化学工業所
今回初出展した谷口化学工業所は木材用DIY塗料「クロマニョンペイント」を出展した。同社は100年以上続く靴クリーム製造会社。その製造技術を生かしてつくられたのが「クロマニョンペイント」だ。「誰でも」「手軽に」「心地よく」をコンセプトとしており、靴の手入れに使用するハンディステイン型の容器が特長で、木目を生かした温かみのある色合いを付与できる。「刷毛やローラーなどが必要なく、クロマニョンペイントだけで塗装ができるのがセールスポイント。これからDIYを始めたいと思っている人には最適な製品」とアピールした。
■タイホウ
ホームセンター市場への参入を積極化している刷毛・ローラーメーカーのタイホウ。ホームセンター各社での導入も進んでおり勢いが出てきている。
そんな同社が今回新たな提案として出品したのは、NEWマイクロファイバー「虎シリーズ」の新商品「デカ虎」だ。DIY塗装でも利用が広がっているミニローラーにおいて、シリーズ最長毛丈の25mmを実現した4インチミニローラー。毛丈が長いため、凹凸の大きい面や深い目地への塗装に適したローラーで、DIYペイントの作業を助ける。「刷毛やローラー、塗装用具の新規サプライヤーとしてホームセンター各社様の導入や引き合いも増えており、有望市場として力を入れていきたい」と担当者。
■ハンディ・クラウン
同社のブースで目を引いたのは近日発売予定の新商品「Smoosy可動式ローラーハンドル」だ。ローラーハンドルの軸の中間に、ローラーを回転できる治具を装着したユニークなローラーハンドル。治具のつまみをひねるだけでローラーの向きを自在に変えられ、縦方向と横方向の塗装を一本のローラーハンドルで実現する。長柄を使った塗装作業で、壁の上部や下部など横方向の作業が必要な時に便利だ。軸を回転させてローラーの向きを変えられる国内初のローラーハンドル。
また、もう1つの新商品として紹介したのは「Smoosyマスカー用3Dフッ素コートハサミ」。通常のハサミやカッターだとよれて切りにくいマスカーのシート部分が、スパッと切れる専用ハサミ。立体形状と点接地による独自の刃の形状でマスカーカットのストレスを解消、アイデアが光った。
■エービーシー商会
住宅の省エネ化で断熱材の販売が好調な同社のインサル事業部。発泡ウレタン断熱材の各種インサルパック商品に加え、今回のDIYショーでは強力洗浄剤の「消っし隊PRO」を新商品として紹介した。
同品はあらゆる汚れに素早く浸透し、汚れを浮かせて落とす洗浄剤。テープやラベルの跡、ペンキや油性マジックの落書き、ハサミや工具などにこびりついた粘着物、ヒールマークや油汚れなどさまざまな汚れに対応。しかも松の木の根から抽出した安心の天然由来成分を使用。洗浄剤を吹き付けたあとは水拭きするだけの簡単作業など使いやすさをPRし、ホームセンターへの新規提案商品として紹介した。
その他、斎藤塗料の「ウレヒーロー」が経済産業省製造産業局長賞と新商品一般人気投票部門で1 位を受賞した。
HOMEインテリア / DIYライトユーザーを取り込む