樹脂加工技術を軸に炭塗料や防蟻・防腐塗料を展開するアーテック(本社・長崎県大村市、社長・林田雅博氏)は、有害物質を吸着・分解し、居住者の健康増進に寄与する室内改善塗装システム「SUMICAS(スミキャス)」を塗料店ルートで展開する。同品は、塗装面に微弱な電圧を与え、室内をマイナスイオン環境にするのが特長で、臨床データから健康増進効果を実証した。塗装リフォームの価値を高められるとの期待がある。
空気質の改善機能を持つ塗料は、枚挙に暇がない。珪藻土や光触媒塗料、漆喰塗料、貝殻塗料など、原料素材が異なる多種多様の塗料製品が流通しており、炭塗料においても調湿性、消臭効果を特徴に複数のブランドが市場に存在する。
スミキャスシステムに要する木炭塗料「ヘルスプロテクト」も高温焼成した微粉末の炭を独自のバインダー(樹脂)に混ぜた内装用炭塗料だが、塗膜に電流を流すという点で異彩を放っている。炭の持つ導電性を活用した形だ。
メカニズムは、炭塗料に電圧デバイス(スミキャス)でマイナス電圧をかけると塗面がマイナス帯電になり、室内に浮遊する有害物資であるプラス帯電粒子が引き寄せられ、室内をマイナスイオン環境にするというもの。吸着したプラス帯電粒子は、炭の効果により分解するという。
マイナスイオンは、滝の周りに多く存在することで知られているが、疲れや酸化の原因とも言われるプラスイオンを人工的に減少させ、室内をマイナスイオン雰囲気にするところに画期性がある。これにより、空気質改善や免疫力向上などさまざまな効果が得られるという。
興味深いのは、一般的な炭塗料に電極を装着しても塗面全体に導電しないという。アーテックの林田社長は「単なる微粉末炭を入れても多孔質かつ配列がばらばらのため電流の溜まりが生じ、塗面全体に電流が行き渡らない。高温焼成による炭の粒子技術と炭塗膜を表出させる樹脂によって実現した」と説明。スミキャスシステムにおいては、日本で特許を取得した他、中国、韓国、フィリピンなどでも特許を出願している。
スミキャスの最大の特長は、従来の塗料にはなかった機能のユニークさにある。消臭効果や化学物質の吸着・分解機能といった炭塗料の特長に加え、①免疫力向上②学習能力の向上③電磁遮蔽効果④ペットの健康改善に対して効果を見出した。
中でも免疫力向上は、マイナスイオン環境の効果を顕在化する上で同社が実証にこだわった点。2005年に大手ハウスメーカー、川崎医科大学と共同で臨床試験を開始。その結果、人間が持つ免疫細胞の中でNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化することを突き止めた。NK細胞は、ガン細胞を攻撃する免疫細胞として知られており、NK細胞活性化の実証は、市場展開において大きな弾みとなった。
学習力向上に関しても、スミキャス空間において子供の集中力が向上するデータを確認。薬事法の絡みから、これら機能の保証をすることはできないが、「時間も費用もかかったが、臨床データにこだわった」と効能の"見える化"を実現した。
愛媛・西田塗料が総代理店に
同品は、既にハウスメーカーや工務店など新築物件で20年以上の実績を重ねており、スミキャス以外にもシロアリ防蟻・防腐材「アンダープロテクト」を展開している。
同社は、機能を実証するための臨床データや施工ノウハウが整ったことで、塗り替えマーケットへ本格展開する構え。そこで以前から取引関係にある西田塗料(本社・愛媛県松山市、社長・西田修身氏)を総代理店に据え、責任施工体制で塗料販売店、塗装業者へ展開していく意向を示す。
課題となるのは、約60㎡で塗料代と電圧デバイス約40万円(定価ベース、施工費除く)という価格の高さ。
これに対し、林田社長は「シックハウスやアレルギー、電磁波過敏症などで悩んでいる方は少なくない。当社としては、そうした方々に自信をもって紹介できる製品にすることが重要だった」と説明。西田泰司専務は「これまでの業界の常識では通用しない製品だが、健康増進に寄与するという点で塗装リフォームのステージ(価値)を高められる商品だと考えている」と話す。
問い合わせTEL089‐973‐1131(西田塗料)
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