第1位 船底防汚剤の過剰溶出を制御
日本ペイントマリン

日本ペイントマリンは今年1月、加水分解型船底防汚塗料「FASTAR(ファスター)」の市場展開を開始した。ナノテクノロジー技術の活用により、親水性と疎水性のナノスケールドメインの形成に成功。防汚剤の過剰溶出を制御する船底防汚塗料を実現した。これにより同社従来品で防汚剤50%減する他、連続停泊日数(25℃以下)最大45日、低燃費効果約8%減、塗装工程工数37%減を達成した。

第2位 水谷ペイント、新たな光触媒開発
安全性高め用途拡大に期待,/h3.

水谷ペイントは、微粒子酸化チタンの安全性への懸念を改善した新たな光触媒を開発した。新たな光触媒「ACパウダー」は、微粒子酸化チタン(光触媒)を無機バインダー(非公表)のまわりに集結させ、クラスター(集合体)状に結合、従来の光触媒の数十倍の大きさに形成することに成功した。これにより、超微粒子に起因して安全性への懸念を改善、光触媒応用製品の用途拡大を進める。

第3位 太陽電池向け加飾フィルム開発
日ペ・オートモーティブ

日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、トヨタ自動車の未来創生センターと共同で、太陽電池の表面にデザイン性とカラーリングを実現させる「太陽電池向け加飾フィルム」を開発。自動車用塗装用技術を応用し、太陽電池の性能を維持しつつ光によるカラフルな加飾を実現した。同社はフィルムビジネスに本格参入、加飾フィルムの開発を推進するとともに自動車用途以外も見据える。

第4位 錆除去レーザー、実用化モデル開発
トヨコー

レーザー装置を用いた錆や塗膜除去事業を行うトヨコーは高出力レーザー装置「CoolLaser」の実用化モデルを開発した。従来の出力3kWから世界最高峰の出力6kWを実現することで除錆能力を向上。同時にレーザー照射後に形成され、塗膜耐久性に影響を及ぼす酸化被膜の抑制を実現した。橋梁の狭隘部など施工困難な箇所に向けて展開する方針。2022年春以降にはレンタルの開始を予定している。

第5位 現場目線の生産管理システム
久保井塗装

塗装専業者の久保井塗装は工業塗装工場用生産管理システム「KCW-CMS」の本格展開を開始した。同システムの主な機能は塗料の発注・在庫管理、ワークの管理、塗料調合の管理の3つ。塗料やワークにQRコードを貼り付けて管理する。併せて、発注漏れや塗料混合時のヒューマンエラーを防止する機能を盛り込んだ。同社では「塗装の現場から生まれたシステム」として提案を進める。

第6位 新規エンジン、調色精度を向上
関西ペイント

関西ペイントは自動車補修用コンピューター調色システム「AI カラーシステム」において、機械学習を用いた新規検索エンジン搭載ソフトの展開を開始した。コンピューターが過去のビッグデータをもとにパターンや傾向を解析し、最適解を判断する業界初の新技術。調色精度の大幅向上やメタリック塗色でのメタリック感の判別が可能になった他、調色工程の作業時間を大幅に削減できる。

第7位 塗装店が在庫管理アプリ開発に挑戦
「らくらく塗装屋さん」ヒット

膨れ上がる残塗料の管理に頭を悩ませていた塗装店が、塗料の在庫管理アプリを自ら開発した。どの塗料の何色が、何平米分、倉庫のどこに置かれているかが手元のスマホですぐに分かるというスグレモノ。重複発注をなくし在庫を圧縮、塗料の産廃費用も激減した。福岡県の塗装店・フクモト工業が開発した塗装会社のための塗料の在庫管理アプリ「らくらく塗装屋さん」。導入する社店が全国に増えている。

第8位 工業水性「AQウレタン」開発
大日本塗料

工業分野の水性ニーズに対応した1液形ウレタン樹脂系エマルジョン上塗塗料「AQウレタン」を開発した。従来の水性塗料から底艶を向上させたことで高い鮮映性を実現すると同時に再現性も高めた。施工性ではスプレー塗装での乾燥時間が短いため、作業工程におけるハンドリング性を向上させた。環境対応と作業性を両立させた工業塗料として、産業機械や建設機械、工作機械など幅広い分野向けに展開する。

第9位 銀微粒子を活用、新鏡面塗装を開発
イクヨ/オーウエル

樹脂パーツの成型加工・塗装を手がけるイクヨは、オーウエルと共同で銀ナノ粒子を活用した新鏡面塗装を開発した。樹脂部品に対してインジウム蒸着並みの光沢感が得られるとともに、ミリ波レーダーの透過性も確認。反応と還元によって銀皮膜を形成する手法と異なり、20~30mmの銀微粒子を溶媒で分散し、塗装仕上げを可能にした。樹脂部品のデザイン性を広げるとして、自動車部品などの採用に期待する。

第10位 貼って剥がせるディスプレイ用塗料
企画商事

新潟の塗料ディーラー・企画商事は、透明基材に映像投射を可能にした光学ディスプレイ用塗料を開発した。微分散した3色の蛍光顔料をバインダーに混ぜて塗装するシンプルなもの。「3色の顔料を均一に分散すれば、自然にRGBの配列が整うと考えた」(栗野勝社長)と塗料調色技術を応用した。バインダーの選定によって、貼って剥がせるディスプレイの生産も可能。3Dや浮遊映像の投射にも成功している。

番外編 吹付塗材専用の補修ガン開発
「NEWシュッシュッ!!ガン」佐藤産業

吹付タイルやリシン仕上面の補修、タッチアップ専用に開発した「NEWシュッシュッ!!ガン」。コンプレッサーいらずの手動式ながら、強力パワーで玉吹きパターンを忠実に再現、手軽に機動的に補修作業が行える。材料を入れるカップは使い捨てのペットボトルを使うので掃除がいたって簡単などユニークなアイデアも光る。パターン合わせの難しい吹付塗材専用の補修ガン。「これは便利」と使用者にも好評だ。