第1位
塗料で自動運転をサポート
日本ペイント・インダストリアルコーティングス
日本ペイント・インダストリアルコーティングスは自動運転を支援する塗料として「ターゲットラインペイント」を開発。慶應義塾大学湘南キャンパスで運行している自動運転バスに製品提供を行った。従来の埋め込み式の磁気マーカーに比べ、道路に塗装するだけなので施工時間やコスト削減に加え、メンテナンスの手間も削減できる。社会課題解決の可能性がある自動運転に対し塗料が貢献できることを示した。
第2位
「真の実用レベル」の水性開発
関西ペイント
関西ペイントは新たに開発した自動車補修用水性塗料システム「レタンWBエコEVシステム3.0」を発表した。プラサフ、クリヤーの乾燥性、作業性を改善し、溶剤並みの性能に向上させた。また、従来溶剤系しかなかった耐擦り傷性クリヤーやプラスチックプライマーの水性仕様を業界として初めて市場投入。水性塗料を「真の実用レベル」に高めることで、水性塗料の更なる普及を図る。
第3位
廃塗料の再資源化システムを構築
トコウ
工業塗装会社のトコウ(埼玉)は、微生物活用の研究者・宮崎利久氏と共同で、廃塗料から燃料ペレット原料開発に成功した。廃塗料、廃シンナー、微生物を反応釜で混合し、数分後に粉末状のペレット原料が完成する。おが屑などと混ぜ、成型すれば燃料ペレットとして熱源に利用することが可能になるため、トコウは自社設備の熱源に利用する計画。将来的には、同業への展開を視野に入れている。
第4位
めっき調塗装の量産対応を実現
タクボ/武蔵塗料HD
タクボエンジニアリングと武蔵塗料ホールディングスは10月、鏡面仕上げの量産対応を可能にした「インジウムミラーコーティング」を共同開発した。武蔵塗料が開発したインジウムを含有した特殊塗料をタクボの回転塗装技術「Rの技術」を活用することで、ナノミクロンオーダーの膜厚を均一かつ安定的に塗布する。鏡面仕上げとミリ波レーダー透過性を特長に、めっきからの代替提案を積極化する。
第5位
鉄筋腐食抑制機能を実証
大同塗料/NEXCO中日本
大同塗料は7月、NEXCO中日本と共同で鉄筋腐食抑制効果を付与したジェル状シラン・シロキサン系表面含浸剤「アクアシール1400AR」を開発した。防錆効果が高く、浸透性の高い防錆剤を混合することで、従来品の倍となる4~6mmの層に吸水防水層を形成。これにより外部からの水や塩化物イオンの浸入を阻止する他、防錆剤が鉄筋表面に吸着し、防錆皮膜を形成することで腐食抑制効果を実証した。
第6位
粉体技術センター開設
旭サナック
旭サナックは粉体塗装に特化した粉体技術センター(PTC)を本社の新工場に新設した。PTCでは高速色替えシステム、被塗物に対応・追従するレシプロケータ、箱物の内面塗装に特化したロボットティーチングシステムを完備し、粉体塗装の情報発信拠点とする。同時にデュアル電界方式粉体ガンの新型モデル「EcoDual」を開発した。塗料の搬送効率向上とエア流量センシング機能を搭載している。
第7位
剥がせるボディカラー開発
トヨタ、KINTO
トヨタは「剥がせるボディカラー」を開発した。サービス運営はKINTOが行う。通常の自動車用塗膜の上に、塗料メーカーと共同開発した剥がせる機能を有する塗料を塗装し、ベース、クリヤーで色や艶を出す塗膜構成。開発した剥がせる塗料は、通常の塗装の結合方式とは異なる特別なメカニズムで密着している。使用時には密着していて、色を変えたい際には剥がすことができる密着力に調整している。
第8位
環境に配慮した新カラー投入
マツダ
マツダは、独自の塗装技術「匠塗 TAKUMINURI」による特別塗装色「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」を開発した。アルミフレークの角度をボディ曲面に並行に沿わせ、明度の高い白であっても艶やかさと光が当たった時の陰影感を演出。また、新開発の顔料により塗膜の厚さを従来比で約30%削減。省資源化や生産時のCO2排出削減にも貢献する。高度なカラー表現と省資源化、環境配慮を両立した。
第9位
超高速ローラー洗浄ツールを開発
堀建装/ホリコー
建築塗装会社の堀建装(千葉)は、塗装用ローラー洗浄ツール「遠心太助」を開発、7月に塗装資材の開発・販売会社のホリコーが全国販売を開始した。同品は、電動インパクトの回転を使い、ローラー内の塗料を吹き飛ばすことができる鉄製の棒。1本あたりの洗浄時間は約30秒、約10ℓの水で5本の洗浄が可能。洗浄、脱水、洗浄、脱水・乾燥の工程で、ローラーのヘタリを解消し、新品並みの毛質を再現する。
第10位
IoTシステム・OLDAS本格展開
オーウエル
オーウエルは塗装ラインの現場管理のノウハウを活用したIoTシステム「OLDAS(オルダス)」を開発、本格展開を開始した。OLDASは拡張性を持ったソフトウエアの設計で、現状は常時モニタリングシステム「OLDAS Ⅰ」と生産管理実行システム「OLDAS Ⅱ」をリリース。AIを搭載した最終形の「OLDAS Ⅵ」は現在開発中で、不具合要因の見える化及びマシンラーニングによる不具合予測を目指す。
番外編
わずかな艶も残らないつや消し塗料
日本ペイント
日本ペイントは、わずかなつやも残らない完全つや消し塗料を独自に開発。9月、外装用の「パーフェクトゥルーマット」として市場投入した。従来のつや消し塗料が、つや有塗料をベースに添加剤などで艶調整していたのに対し、同品はベース塗料からつや消し塗料として開発した。このため、いわゆる「奥つや」と呼ばれるわずかなつやも残らない。つや消し仕上がトレンドの外装市場で人気が出そうだ。