新型コロナウイルスに見舞われた2020年は、事業規模の拡大を続けてきたグローバルトップ3社の業績に差がつく結果となった。

共通するのは、グローバルレベルでのサプライチェーンを形成してきた自動車用、工業用向けが減退を余儀なくされた一方、ローカル需要に紐づけられた汎用市場が比較的好調に推移した点。各国で異なる感染防止対策と絡みながら建築用塗料、DIY用塗料と汎用市場の強さが際立った。

世界4位に位置する日本ペイントホールディングスも好調な中国の汎用事業に加え、米国、豪州、欧州の汎用事業が堅調に推移し、増収増益を計上。汎用事業の高い伸長率を足掛かりに新中期経営計画(2021~2023年度)では1兆1,000億円の売上目標を掲げ、上位3社への追随体制を鮮明にしていく方針。

2021年も引き続きコロナ禍の予断を許さない中、サプライチェーンの寸断がタイトな需給環境や原材料の高騰を招いており、本格的な需要回復には時間を要する見込み。それでも上位4社で世界市場の3割を超え、汎用市場を照準に塗料メジャーによる寡占化の様相を更に色濃くしていくと見られる。

■Sherwin-Williams

2020年通期業績は、売上高183億6,100万ドル(2.6%増)、当期純利益20億3,000万ドル(31.7%増)を計上した。売上高は日本円換算で約1兆9,830万円。1ドル108円。

事業別では、アメリカグループ売上高が2.1%増の103億8,000万ドル、セグメント利益22億9,000万ドル、コンシューマーブランドグループ売上高が14.1%増の30億5,000万ドル、セグメント利益5億7,960万ドル、機能性塗料グループ売上高が2.5%減の49億2,000万ドル、セグメント利益5億10万ドルとなった。アメリカ、カナダの住宅用塗料、DIY向けが大きく牽引し、店舗売上は2.7%増。コンシューマーブランドはアジア事業の不振を北米市場が下支えした。

■PPG

2020年の通期業績は、売上高138億8,400万ドル(約9%減)、税引前利益13億6,200万ドル(18.0%減)、当期純利益10億5,900万ドル(14.8%減)となった。売上高は日本円換算で約1兆4,995億円となった。

事業別を見ると、機能性コーティングの売上高は84億9,500万ドル(6.0%減)、セグメント利益13億5,900万ドル(3.5%減)、工業用コーティングの売上高は53億3,900万ドル(12.7%減)、セグメント利益7億5,000万ドル(13.0%減)となった。

■アクゾノーベル

2020年通期業績は、売上高85億3,000万ユーロ(前年比8%減)、営業利益9億6,300万ユーロ(14.5%増)、当期純利益6億3,000万ユーロ(23%増)を計上した。販売単価は1%押し上げ、数量は6%ダウンした。売上高は日本円換算で約1兆1,000億円。1ユーロ128円。

分野別では、建築塗料分野の売上高は3%減の35億5,800万ユーロ、機能性塗料分野の売上高は11.0%減の49億5,700万ユーロとなった。

また機能性塗料分野の内、粉体塗料は11億2,800万ユーロ(8%減)、船舶・防食は10億6,800万ユーロ(17%減)、自動車及び特殊塗料は11億2,700万ユーロ(14%減)、工業用塗料は16億3,400万ユーロ(4%減)となった。

地域別売上高は、オランダ3億4,200万ユーロ、ヨーロッパ(オランダ除く)36億2,600万ユーロ、米国・カナダ10億1,900万ユーロ、南米6億9,700万ユーロ、アジア23億4,400万ユーロ、その他5億200万ユーロ。