今年4月、分散体及び塗料・インキの受託製造を手がける大成化工を吸収合併した大成ファインケミカル。樹脂開発、分散技術、塗料化技術の3事業を軸に需要の深掘りを図る中、樹脂事業部においては無溶剤型高分子量アクリルポリマー(特許出願中)の開発を進めている。

これまでUV硬化型コート材は、有機溶剤とアクリレートモノマー・オリゴマーを使用した材料設計が主流だが、昨今の環境対応の流れを受け、需要家から脱溶剤化のニーズが顕在化。溶剤の含有が避けられない用途で材料開発が求められていた背景がある。
そこで同社は、これまで無溶剤系コート材で適用が困難であったアクリルポリマーにおいて、従来と異なる重合方式を見出し、モノマーが含有する形で無溶剤化に成功。現在各種用途に向けた製品化に開発注力する。

担当者は「脱炭素化を背景に熱エネルギーを使わず、省工程で生産できる無溶剤型UV硬化材料に対する関心が高まっている」と期待を寄せる。一方で水系素材の開発は、非危険物を強みに脱VOCの市場調査を本格化する構え。ハードコートのみならず、塗料、化成品など幅広い用途を見据えている。

その他、シリコンアクリルポリマー(オリゴマー)を開発。剥離性、撥水性を特長にフッ素系材料からの代替需要を見込む。「樹脂との親和性が高く、相溶化剤、表面改質剤など添加剤としても使用できる」と物性向上に対する効果をアピール。ハードコート及びコーティングなど幅広い用途で需要に期待する。