住宅リフォーム事業者団体に登録

塗装店など町場の住宅外装リフォームの施工者団体が国から優良事業者に認定された。木造住宅塗装リフォーム協会(木塗協、代表理事・古畑秀幸氏)は、11月6日付で「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に認定。国が優良な施工者の集まりと認める同制度の14番目の団体となった。新興かつ小規模施工者集団として初のケース。優良リフォーム業者の看板を強みに会員会社の成長に寄与していく。


住宅リフォーム事業者団体登録制度は2014年9月に国土交通省が創設。住宅リフォーム市場の拡大に伴って建設系、サービス、小売、ベンチャーなどの業者が入り乱れ「どの業者を選べばいいか分からない」といった消費者の不安が広がっていることが背景にある。

このため、国が定めた要件を満たしたリフォーム事業者団体を国が登録し、団体に所属する事業者の技術や安全性を担保する仕組みを構築、消費者が安心して業者選択を行えることでリフォーム需要を活性化させる狙いがある。言わば、国がリフォーム事業者にお墨付きを与える制度で、登録団体だけのロゴマークを使用できる他、国交省のホームページや消費者向けリフォームガイドブックへの掲載などで情報提供。また、近年多発している自然災害の復旧復興工事で、被災地の各自治体に登録団体の事業者を優先して情報提供するよう働きかけるなど受注機会拡大のメリットが出てきている。

ただし、登録へのハードルも高い。登録要件は複数の都道府県に拠点を持つ概ね100社以上の会員で構成される比較的規模の大きな団体で、設立後2年以上の業務実績があることの他、会員に対して教育プログラムが整っていること、消費者からの相談窓口を設置するなどの要件が必要。リフォームかし保険への加入も義務付けられる。

これまで登録された事業者団体は、マンション計画修繕施工協会(MKS)が制度創設後間もなく第1号で登録された他、日本塗装工業会も6番目に登録。その他、日本住宅リフォーム産業協会(JERCO)やリノベーション協議会、全国工務店協会など13団体が登録、14番目の団体として木塗協が認定された。先行の13団体がその分野の代表的な業界団体として順当に登録されたのに対して、木塗協は新興かつ小規模施工者集団として登録された初のケース。施工技術・技能の研鑽や消費者保護の取り組みなどが高く評価、活動本意で登録されたかたちだ。

木塗協は、戸建住宅の外装リフォームを主体に、技術・技能、施工品質、サービス向上への研鑽を目的に平成21年に任意団体として発足、同26年に一般社団法人として登記。町場の塗装店など戸建住宅の塗り替えを主体とした事業者が加盟、会員数は現在108者で、リフォーム事業者団体登録の要件をクリアしたばかりの小さな所帯だ。

しかし、教育や消費者保護活動などの実績は申し分ない。代表理事の古畑秀幸氏は、戸建住宅外壁の7割を占める窯業サイディングのメンテナンス技術の第一人者で、木塗協の前身のニューライフアカデミー時代から教育研修を継続。同氏による技術講習会では既に1,500人以上の「窯業サイディング塗替診断士」を輩出、外装リフォーム分野の重要なスキルになっている。

また、消費者保護の活動では、かし保険対応が突出している。木塗協は国交省が主導している公的リフォームかし担保保険で、塗装業界では初めて「認定リフォーム団体」として認定された。

保険会社からの派遣ではなく団体構成員で完成検査を行えるため保険料が半額程度になるのがメリットで、「施主様にとっての最大の安心材料であるかし保険を他よりもリーズナブルに提供できるのが木塗協の強み。今年は年間500件の実績見込みで、団体の規模からすると利用率は断トツだと思う」(古畑氏)と、かし保険の利用実績も優良団体登録の好材料となった。

木塗協の会員は現在、塗装業、屋根、サイディングなどの専門工事業、リフォーム店、工務店などの他、塗料販売店も加盟。いずれも地域密着戦略でリフォーム事業の伸長を目指す成長志向の高い会員が集まっている。それらの会員が目指すべき方向として掲げているのは「住宅外壁躯体再生事業」。

屋根・外壁の塗り替えだけでなくサイディング基材そのものの劣化状況の診断と場合によっては張替え、雨水の浸入や白ありによる躯体の劣化状態と回復施工など躯体と建物外皮全般への施工対応力を備えていく方向だ。「これからのリフォーム需要は国の施策でもある中古住宅の流通と密接に絡んできます。ここでは消費者が安心して売買できるようインスペクション(建物の状況調査)が行われますが、そのプロセスに絡み、診断状況に応じたリフォーム施工能力を擁することで、時代が要請するリフォーム事業者に脱却できます」(古畑氏)とし、そのための知識・技術スキルとノウハウを木塗協は提供。塗装にとどまらず、リフォーム事業者として成長するための活発な活動が行われている。
 



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