木造住宅塗装リフォーム協会(木塗協、代表理事・古畑秀幸氏)は3月28日、都内の会議室で「2024年第1回木塗協研修会」を開いた。今回は、会員会社の事例として志賀塗装(福島県いわき市)の「大型リフォーム条件付き中古住宅の仲介事業」の話題を、同社の志賀晶文社長(写真)が講演。塗装業から派生できる業態転換の成功事例について学んだ。

木塗協は、塗装業など住宅外装リフォーム事業者約150社で構成。戸建住宅など外装リフォームのB to C事業の研鑽とともに、その先を見据えた取り組みにも注力。今後需要増が見込まれる中古住宅関連のビジネスを成功させている志賀塗装の事例からの学びを、今回の研修会のメインに据えた。

志賀塗装は、野丁場の工事から自社元請スタイルの住宅塗り替え事業へシフトし、さらに水まわりなどのリフォーム事業を取り込んで成長している会社。現在はリフォームの売上が7割を占めている。

その強みを生かして新たに取り組んでいるのが、大型リフォーム付きの中古住宅の仲介事業だ。住宅を取得したいけれど費用的に新築は厳しい、そういった層のニーズに応えるビジネスとして中古住宅+リノベーションの事業をスタート。2020年に中古住宅専門店「わが家」をオープンした。

志賀社長は最初に業態転換の話について触れ、「100年企業を分析すると、祖業一本で続く企業は珍しく、時代や社会の変化に合わせてうまく業態転換を図れている企業が多い」と企業の永続性について言及。その上で、「当社の強みであるリフォーム事業を生かしながら発展できる分野として中古住宅+リノベーションの業態に挑戦した」と経緯を説明した。
 事業化に先立って東北大学の「地域イノベーションプロデューサー塾に入塾」し、BMC(ビジネスモデルキャンバス)に沿って徹底的に事業戦略を練り上げた。自社が提供できる価値は何か、それをどのような顧客にどのように届けるか、それによる収益の見込みはなどを概観的、客観的に構築。BMC沿って進めることで計画通りに事業が推進していることを報告した。
 また、中古住宅+リノベーション事業のポテンシャルについて触れ、「空き家の増加と所得の伸び悩みといった社会的な背景から、中古住宅をリノベーションして住宅を取得するスタイルが広がる」との見方を示し、塗装業からシフトできる事業への可能性を示した。