持続可能な開発目標として17の目標と169のターゲットを掲げるSDGs(Sustainable Development Goals)を事業方針に導入する企業が増えてきた。法令ではないため、あくまでも事業者・団体などの主体的な取り組みを促すものだが、企業活動の社会貢献を表明する方策として導入の気運を高めている。

既に塗料業界でも上場企業を中心にSDGs導入を始めており、今後更なる広がりが予想される。そこで今回、本紙が塗料販売店向けに行っている景況アンケートを通じ、SDGsに対する現状を調査した。

アンケートでは、SDGsについて「実施している」「検討している」「今のところ予定していない」の設問を設け、全国の塗料販売店65社が回答した。

その結果、「実施している」20%、「対応を検討している」45%、「今のところ予定していない」35%となり、6割以上がSDGs導入に前向きな姿勢を示していることが分かった。

「実施している」と回答した企業の取り組み事例を見ると、植林などの環境保全活動、地域ボランティアの参加、環境貢献製品(抗ウイルス塗料、遮熱塗料、高耐候性塗料)の提案、塗装教室の開催、社屋のソーラーパネルの設置など。多くは、基幹事業である塗料の価値を社会や地域に訴求する活動に集中していることが分かる。

このように多くの企業がSDGsに関心を示すのには、事業の社会的貢献を示すことで、顧客との関係構築及び求人に生かしたいとの狙いが垣間見られる。

特に企業間取引をメインとする工業用ディーラーに絞ると、「実施している」40%、「対応を検討している」47%となり、建築系販売店(自補修含む)の「実施している」14%、「対応を検討している」44%を上回る。

回答数が少ないため参考値の域を出ないが、工業系ディーラーにとっては、ISOと同様、SDGsが顧客企業との関係を維持する上で重要視されていることがうかがえる。

一方、SDGsの取り組みが塗料販売店の求人に影響をもたらしているケースも出ている。

ある塗料販売店の社長は、「就職説明会の際に学生から自社のSDGsの取り組みについて聞かれたことをきっかけに対応を始めた」と話す。

自己アピールを含め、地球環境や社会貢献を会社選びの指標としている若者の意識を如実に表している。