「男性と女性で好みの色がこんなに違うとは思いませんでした」と話すのは、大阪塗料工業の中川由起子会長。2月1日に発売した木材保護塗料「水性ニューボンデン」の新色5色は、女性社員で選んだ塗色だ。

中川会長の新色開発の呼びかけに反応したのは経理、総務、業務、製造とそれぞれの部門に属する女性社員たち。「なぜ木部用塗料だけ茶系色にこだわるのか」「カタログがダサい」と色選びをきっかけに辛辣な意見が噴き出す。プロジェクトは、新色開発にとどまらず、カタログや販促物を含めたブランドデザイン全体の刷新に及んだ。

「家の塗り替えにしても、巣ごもり消費で活況になったDIYにしても、女性に気に入られることが重要だと考えました」と中川会長。くすみ色を中心にしたピンク系、ブルー系と過去にない塗色に当初は男性社員の抵抗も少なくなかったが、結果的には塗装後の仕上がりで納得感を深めていく。「色を通じてチームワークが高まった」(西垣光洋社長)と設計関係や一般ユーザーに広く提案していく方針だ。

既存の14色に加え、新色として追加したのは、「スモーキーピンク」「ブルーグレー」「グレージュ」「カフェモカ」「キャラメル」の5色。現在、販売店、ユーザー向けにサンプルキット(100㎖)の配布を始めており、今後はカタログや塗料缶を刷新する計画。

「色で選んでもらえるブランドにしたいですね」(中川会長)とモチベーションを高めている。