住宅外装の高意匠化で多彩模様塗料の需要が増える中、多工程という施工上の制約を乗り越えた新製品をメーコーが発売した。完全水系多彩模様外装仕上塗材「クリンナ ルックストーン」は、従来必須であった下塗り(ベースカラー)が不要で、上塗りのみで高度な意匠を発現、大幅な省工程化を実現した。施工者のメリットを明確化できるとし、拡販に乗り出す。

多彩模様塗料は塗料中に配合されたゲル粒子やカラーフレークなどで"斑(ふ)"を表現するため、透明もしくは半透明の塗料で構成されている。このため隠ぺい力が弱く、下塗りにベースカラーを1~2回塗布し、その上に多彩模様塗料を2回塗布、基材へのシーラー(プライマー)を含めると5回塗り程度の工程が一般的であった。

これに対して新製品「クリンナ ルックストーン」は、従来必須の下塗り(ベースカラー)を不要としたのが最大の特長。シーラー塗布・乾燥後は同品の1~2回塗り仕上げで、工期にして1日以上のアドバンテージが得られる。

開発のポイントは水性架橋ゲルの加工技術。同品は意匠表現の斑にゲル状の着色シリコン樹脂を用いており、その表面処理や粒度調整などにより塗料中にゲルを多量に分散できる技術を確立。ゲルそのもので隠ぺい力を持たせることに成功し、下塗り不要を実現した。

多色の着色ゲルが表面に緻密に配向されていることによる高度な意匠性に加え、シリコンゲルとシリコン樹脂クリヤー層のWシリコンによる高耐候性や低汚染性、高級感がより引き立つ艶消しタイプにするなど特徴ある製品に仕上げた。

同社は10年ほど前にそれまで溶剤系が主流であった多彩模様塗料のカテゴリーで、業界で初めて完全水系タイプの「カラリアート」を上市、多彩模様塗料ブーム再燃の口火を切った経緯がある。以来、「水性架橋ゲルの加工技術には鋭意的に取り組んでおり、ローラー施工タイプの開発、そして今回の下塗り不要の高隠ぺいタイプの開発など進化させてきています」と自負が覗く。

高意匠サイディングの塗り替えなど住宅塗装リフォームで多彩模様塗料の需要が増える中、「施工性によるメリットと高度な意匠性を前面に多彩模様塗料ユーザーの支持を得ていきたい」とし、市場展開を強める。

なお同品は吹付施工とローラー施工が可能。吹付の場合はシーラー塗布後に同品の1~2回塗り。ローラーの場合は専用シーラーにローラー用専用ビーズを混ぜて塗布、その後ローラーによる同品の2回塗りの仕様となっている。