塗装機メーカーのグラコは、生産性向上と品質向上を両立するアプリケーションとして多液混合装置の販売に注力している。市場環境について「長らく歯車式計量タイプが採用されているが、ユーザーニーズは多様化しており、機能拡張が求められている」(担当者)と説明。そこで同社は、ガン先での安定した吐出量を特長とするシリンダー式計量タイプを加え、豊富な製品バリエーションでユーザー層を広げる考えだ。

2液・多液混合装置は、2液型ウレタン樹脂塗料などを使用する際、主剤と硬化剤を定められた混合比に基づき正確に計量し、ガン先に供給する装置。現在、同社は「プロミックスシリーズ」ブランドとして、歯車式流量計タイプの「2KE」と「2KS」(外部入出力タイプ)を上市。更にシリンダー式計量タイプの「PD」を加え、市場展開を行っている。

歯車式計量タイプの「2KE」の特長は、廉価で導入がしやすい点。電気工事を不要にするエアタービン発電式を採用し、エアーを差すだけで利用できる利便性を有する。これまで自動車、建機、船外機などに納入しており、「導入機として適している」と幅広い分野での採用に期待する。「2KS」は、「2KE」をベースに多色対応、外部入出力ができる。

一方、「PD」は、ステッピングモーターの駆動を上下のピストン運動に変えるシリンダータイプ。混合精度±1%以内の正確性を誇り、ガン先での圧力を一定に保つ液圧センサーにより、レギュレーターがなくても脈動を抑制し、安定した吐出環境を実現する。その他、洗浄時の混合残留塗料の廃棄量を大幅に削減する他、システム内の混合材料が限られるためポットライフの短い材料に適するなどの特性がある。

またメンテナンスにおいても健康診断機能を搭載し、予防保全が可能。「材料劣化に起因するギアがないのも特徴。納入先でも長期にわたり安定稼働している」と販売拡大に弾みをつけている。