旭サナックは、3D形状認識機能を搭載した新型高速色替え粉体自動塗装ブースの投入に向け、準備を開始した。塗装前にワーク形状を立体的に検知し、前後進に稼働するレシプロ塗装機との組み合わせによりワークに対し適正なスプレー距離を維持する。更に同社は各塗装制御装置の情報を集約したIoT化、AIを活用した塗装工場の未来像を示した。
同社は10月25日から27日までの3日間、創立75周年、塗装機創業60周年を記念し、本社工場にて「サナックフェア2017」を開催した。初日の25日は全国の取引ディーラー、海外顧客に対し、新製品特別内覧会を実施。26日、27日には多くの顧客、塗装ユーザーが来場し、3日間で約1,000名を動員した。
「感謝 お客様とつながる75年」をテーマに新製品として発表したのは、3D形状認識機能を持つ次世代型粉体自動塗装システムや「SUNAC-EX」を活用したIoTレシプロシステムなど20製品・技術（参考出展含む）。軽量化に伴う素材代替などにより、製造現場の多様化の様相を強める中、同社は塗装工場の生産性向上及び品質向上に直結するIT技術の活用と工場特性に対応した柔軟性を訴求したシステムを展示。
次世代型粉体自動塗装システムと位置づける「SUNAC7000EX」は、3Dレーザーセンサによりワークの形状を自動認識し、各ガンと前後進するレシプロとの組み合わせにより最適なスプレー距離を確保し、塗膜品質向上及び補正量削減など塗装効率や直行率の向上に寄与するのが特長。これにより従来、ワークごとに入力を要していた作業時間を不要にし、奥行きを検知する3D形状認識センサと静電反発を抑えたデュアル電界方式粉体静電自動ガン「ECXa」により、塗り込み性を高め、手動補正人員の削減を可能にする。
とりわけ差別化のポイントに挙げるのが、3D形状認識センサから各ガンへ反映させる応答性の速さ。既に同様の3D形状認識技術を採用する先行メーカーがある中で、同社はレシプロ本体とガンアームが稼働させる2段階方式を採用。ワークに対しレシプロ本体が素早く移動し、ガンアームが上下動、前後進を行う個別制御技術を構築した。「どこまで移動させるか、制御に苦労した」と開発担当者。レシプロ本体は、最大約1,000㎜、ガンアームは最大約300㎜の範囲で稼働する。
液体静電分野では、レシプロコントロールシステム「SUNAC-EX」の基本性能にネットワーク機能を強化した「IoTレシプロシステム」を開発。自動塗装による膜厚安定、塗料使用量の減少に寄与する他、処理面積当たりのコスト算出や色替え条件の最適化など、通信対応スプレー情報システムとの連携により"見える化"を実現する。
更に塗装制御装置から送られてくる情報を遠隔地においても一元管理を可能にしたのが「SUNAC-IoT」（モデル事例）。各種センサ、ウェブカメラ、温湿度計を設置し、吐出量、霧化エア圧、パターンエア圧、電荷状況、塗料種類、塗料使用量を一画面で把握できるのが特長。またこれらの情報を無線LANルーターで情報サーバー「SUNAC-LOGGER」に蓄積することで「平常時と異常時の違いを見ることで正確な要因分析に寄与する他、計測データから自動的に日報などを作成することができる」と品質向上、生産性向上へのメリットを訴求した。
その他、人の動きをそのまま塗装ロボットの動きに反映することができるティーチングアシスト塗装ロボットを紹介。エアラップ静電ガンとの組み合わせで実用化にめどをつけた。
ものづくりの現場でIoT、AIが取りざたされる中、同社が示したのは、情報データの集積、分析、活用、学習、スキルアップの流れ。塗装工場の革新を見据えている。
◇「サナックフェア2017」新製品リスト： レシプロコントロールシステム「SUNAC-EX」△ティーチングアシスト塗装ロボットシステム（参考出展）△高速色替・省洗浄ベル型静電ガン「ESA300」△水性対応静電自動ガン「EAB400WB」△エアラップ静電自動ガン「APEG26」・ハンドガン「TeTop APEG100」△粉体高速色替塗装システム△デュアル電界方式粉体静電ガン「Ec'Corona-Xシリーズ」△スクリュー式粉体定量供給塗装機（参考出展）、丸吹きエア静電ハンドガン「HB5000R」△エア静電ハンドガン用静電コントローラ「BPS1600-IoT」（参考出展）△単色二液塗装機「ACW1200α」△ニューマチックベローズポンプシリーズ「BP1836S」（高圧仕様）、「BP360S」（低圧仕様）△高粘度圧送装置「SP2554SV」△新型ホットメルトアプリケータ「AM10」△新型ホットメルトハンドガン（参考出展）△研究用小型コータ「rCoater」△研究用静電誘引ノズル「AES100」△研究用小型三次元コーティング装置「3D-rCoater」△微少吐出エアスプレイ自動ガン「TFC10」。
