塗装シミュレーション技術を解説
マツダに採用

日本塗装技術協会の平成28年度第2回講演会が10月28日、日本ペイントHD東京事業所で行われ、「塗装をどこまで予測できるかPart1~塗装と数値、シミュレーション~」をテーマにマツダにも採用された塗装シミュレータについて解説した。


電通国際情報サービスの西村浩行氏は塗装シミュレータ(SPT3D)を紹介した。このシステムは、造船業界で活用されている旭エレクトロニクス社の塗装訓練システムに自動車業界に適用できる機能を付与した。

実物のワークや塗料を使わずにバーチャル塗装ができる従来システムに①360°全周視野を持たせた②移動体(塗装ライン)への対応③塗り重ね(手吹き+ロボット)に対応④処理速度(塗り速度)の向上などの機能を加えた。塗装ワークを実寸表示し実際と同じ姿勢でリアルな塗装体験が行える。

専用PCに膜厚パターンと塗装部品CADデータの情報をインプットすることで、膜圧分布、塗装ムラ、塗料使用量、塗装時間の評価が可能となる。塗装作業はVR環境(仮想空間)で専用ガンを用いて行い、手吹きとロボット塗装の2モードを揃える。

バーチャル画像では膜厚を色分けで表示するため、塗膜厚さや有効塗料使用量などの評価が可能になり「作業の問題点が見える化できる」(西村氏)。

同社では訓練システムだけでなく、事前評価の仕組みとしての活用を提案しており、「3D図面段階(試作前)で塗装性評価が行えることで、作業性や塗装品質の改善を事前に提案できるようになる」という。

SPT3Dは自動車メーカーのマツダが導入。「塗膜が形成される過程をバーチャルな環境で精密にシミュレーションすることで塗膜構造の作り込みの更なる高品質化と短期間化を実現する」(西村氏)。



平成28年度第2回講演会
平成28年度第2回講演会

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