グラコは、塗料循環システム内で使用する塗料品質の長期安定化を実現した背圧制御装置「LS BPR」を開発した。塗料同士の接触負荷を抑えた低せん断性(Low Shear)と背圧維持性能を両立したのが特長で、メタリック塗料やパール塗料など光輝材を多く含む塗料の長寿命化に寄与する。自動車メーカーを中心に採用拡大につなげたい考えだ。

自動車メーカーをはじめ同一建屋で複数の塗装スポットを持ち、かつ複数色を塗装する工場は、生産性と利便性から塗料タンクから配管を通じて各スポットに塗料を送り、使わない塗料は再度タンクに戻す塗料循環システムを採用している。供給を止めると配管内で塗料溜まりができることから稼働日、休業日問わず循環が続けられており、塗料循環システムはいわば血流のような役目を果たしている。

しかし、近年ボディカラーの高意匠化に伴いメタリックやパールを配合した高輝度塗料の採用が拡大。カラーによっては、日夜循環を続ける内に物理的な接触を繰り返すことで光輝材が変形し、色味を変えてしまうケースがあるという。

そうした課題に着目し、開発したのが「LS BPR」。塗料流路及び通過面の設計を変更したことにより、背圧維持性能と塗料ダメージを抑える低せん断性を両立。「流路の角度や断面を大きく変えたことで、背圧性能を高めると流路が狭くなり、せん断性が高まる相反の課題を克服した」と説明する。

今後、同社は「LS BPR」とローシアモデルの塗料循環ポンプの組み合わせにより塗料廃棄量の減少とコスト削減に直結するとして、採用拡大に弾みをつけたい考えだ。

ラインアップはエアオペ式(4.3kg)と機械式(2.8㎏)の2タイプを揃え、従来品より大幅に軽量化を実現。中でもエアオペ式は、電動ポンプと連動した自動背圧調整が可能で「休業日には、自動的に背圧を緩めることができる」と管理面での利便性を高めた。