「業務改善のプロフェッショナル」の価値提供を目指す

塗料販売業界で最も導入実績の多い販売管理システム「スーパー塗料」の開発元・ニューマネジメントシステム(本社・東京都足立区)。同社は今年3月、社長交代を行った。慢性的な人手不足と複雑で煩雑な業務を抱える塗料販売店の業務の現場を、ITやシステムでどのように支えていくのか。新社長の青木哲平氏に話を聞いた。



 ――まず、貴社の歴史について簡単に教えてください。
 「創業者でもある先代社長の青木文雄が会社を興して今年で39年目になります。『業種・業務に特化したシステムを通して、お客様の利益向上に貢献する』との理念のもと、40年近く走り続けてきました。先代の青木は元々システムエンジニアであり、技術者がお客様のもとに足を運んで現場の声を聞き、ご要望を1つひとつシステムに反映させていく。そうしてつくり上げてきたのが塗料販売業に特化した販売管理システム『スーパー塗料』です。お蔭さまで、今では全国の塗料販売店様400拠点以上でご利用頂いています」

――導入が進んだ理由をどのように見ていますか。
「受発注業務を中心に、塗料販売店様の業務改善に役立っているとのご評価を頂けているのではないかと思います。膨大な商品点数、複雑な価格設定、『あれ、これ、それ』といった曖昧注文など、塗料販売店様の受発注の現場は非常に複雑で煩雑な仕事に追われています。そこに当社の営業マンがお邪魔させていただき、現場の声をヒアリングしてより使いやすいシステムへと進化させていく。その積み重ねが、塗料販売業専用のシステムとして普遍性を持ち、多くの社店様に導入いただけたのだと思います」

――貴社では営業の人たちがシステムの企画を行うのですか。
「そうです。日々お客様と接しているのは当社の営業マンですから。お客様が直面している問題を解決するためにシステムをどのように変えればいいか、あるいは『もっとこうしたい』といったご要望を叶えるためにどのような新機能を付加すればいいかなど、要件定義は営業マンが行います。そしてそれを開発部隊に伝え、一緒になって具体的な機能に落とし込こんでいくのがシステム開発の一連の流れです。お客様の声を基点により良いシステムを追求していくとの姿勢は創業以来ブレずに貫いており、それが当社の強みにもなっていると自負しています」

――先代の青木文雄氏からバトンを引きつぎ、今年3月に社長に就かれました。抱負を聞かせてください。
「私がトップを務めるに当たり、『色とインフラを支えるソフトウエア企業へ』とのスローガンを掲げました。『色』とは塗料業界のことを指し、『インフラ』とは当社のもう1つの得意先である高圧ガス・溶材商業界を指しています。それぞれの業界専門のソフトウエア企業として課題解決に取り組み、生産性と利益向上を実現するシステムを開発・提供して、お客様のより良い経営を支援していくとの方針をスローガンに込めました。対外的にはもちろん、社内に向けての強いメッセージでもあります」

――得意先業界のうち、塗料販売業界の課題をどのように見ていますか。
「私もこの会社に入って18年。技術職から始まり、営業、マネジメントの仕事を通じて塗料販売業界様と深く関わってきました。その上で認識しているのは、商流や商材の変化とそれに伴う競争の激化、その中での生き残りや成長の模索、止まらない価格改定や物流費の高騰、依然とした属人的なアナログ業務、そして人材不足と労働環境の改善、後継者難による廃業やM&Aの増加など塗料販売店様の問題意識、課題観は非常に多岐にわたっているように感じています」

――システム会社としてそこにどう向き合っていきますか。
「それらの問題や課題の解決に向けて底流にあるのは、やはり"業務改善"だと思うのです。業務改善によって生産性が高まり利益が向上すれば競争力が付き生き残りや成長につながりますし、業務改善による働き方改革や処遇待遇のアップによって人材の確保や定着も期待できます。そうして魅力ある企業に変われれば、後継者の課題もクリアできるかもしれません。つまり、私たちが『業務改善のプロフェッショナル』として向き合えることがお客様への最大の貢献だと思っています」

――業務改善のプロフェッショナルとは。
「『ここをこうしてほしい』『こんな機能がほしい』など対処的なご要望への対応はもちろんですが、それらの表面的なニーズからもっと本質的な部分を探り、そこにアプローチして根本的な問題解決を図っていく能力だと思っています。さまざまなタイプの塗料販売店様とお付き合いしているからこそ、根っこのところでつながっている問題を発見でき、解決することで業界全体を良い方向にリードしていけますし、そういう立場を目指しています」

――社会も市場も経済も一層変化が激しくなっています。
 「激甚化、頻発化する自然災害、リーマンショックのような大きな経済危機、予想もしなかったパンデミックの発生、戦争や紛争、そして今回のトランプ関税のように、めったに起きないであろうと思われている大きな事象が実は数年ごとに起きており、これからも一層短期のスパンで起こることは間違いありません。そうした未来にひるむことなく、むしろワクワクした気持ちでお客様と乗り越えていく。新しい時代に合った業務スタイルを提供できるパートナーとして価値を提供していきたいと考えています」

――ありがとうございました。

※ペイント&コーティングジャーナル:2025年6月25日号塗料流通特集から



青木哲平氏
青木哲平氏

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